とりあえずやってみた

とにかくやってから、考えます

不動産営業は他人の人生を左右するお仕事です

 

こんにちは やぐらです

 

注:今回は、

  さらにきつい表現がありますので

  ご注意ください

 

不動産営業時代に戻ります

 

ある日 とある独身男性

(Fさんとします)

に、電話営業をしておりました

 

電話の段階では それほど、

売込みを掛けずに

「会って話をする」

を、メインに話をしておりますが、

 

自分的には もう一歩で

Fさんが

「じゃ、一度話を聞いてみましょう」

となりそうな気がしますが

なかなか最後のところは 拒否してきます

 

いろんな角度から

「こうですよ」

「ああですよ」

もう

「人生について1度考えましょう」

みたいなことまで 言ってみましたが

 

Fさんは、

「うん」

と、いいません

 

それどころか

だんだん人生に対して

後ろ向きなことまで 言い出してきます

 

F「せっかくですけど」

F「人生、先のこととか」

F「考えてもしょうがなくないですか?」

F「マイホームとか」

F「自分には必要ないです」

や「いやいやいや・・・」

や「そんなことはないです」

や「それでですね・・・」

 

そんな攻防が30分くらい続きました

それを、横で聞いていたH君

(例の「おれおれ」の人です) が、

 

H「ちょっと、オレに代わって」

 

と言って、 自分から受話器を取り上げました

 

H「あー、すいません」

H「私は、やぐらの上でやってます」

H「Hといいます」

H「いま、横で聞いてたんですが」

H「すいません、やぐらが熱くなってしまって」

 

その後の会話は よく刑事ドラマにありそうな

突っかかっていく若手刑事と

「まあまあまあ」

といって、 後ろから出てくるベテラン刑事 と、

ほぼ同じ状況になります

 

そして、 2、3分後・・・

 

H「わかりました。」

H「では、当日はやぐらのほうが」

H「お伺いしますので」

H「失礼します」

や「(!)」

H「やぐら、アポはこうやって取るんだよ」

や「(はー)」

 

このとき、H君の隣で聞いてましたが

(相手のせりふは聞けませんが)

(こちらが何を言ってるかで)

(相手が何をいってるか、だいたいわかる)

 

(H君が、代われと言ったのも)

(相手が、何をいってるのか)

(だいたいわかっているため)

 

自分との違いが 正直言ってよくわかりませんでしたが

結果的には、

自分はアポが取れなくて

H君はアポが取れた

というはっきりした事実があります

 

(これが、成績トップと)

(自分との差なんだろうな・・)

 

と思ってました。

 

この時までは・・・・です

 

この会社のシステム上

最終的に契約になった場合は

自分の成績になります なので、

 

お客さんとの 直接の営業の交渉は自分になります

ただ、 自分は下っ端なので 課長が必ず同行します

 

 

さて H君がセッティングしたのが

あの電話から2日後の 平日の18時

 

アポ当日 Fさんのアパートの前に到着します

 

日も暮れまして 周りの家の明かりが 点き始めてますが・・・

 

課「まずいなー」

や「まずいですね・・・」

 

Fさんの部屋に明かりが点いてません

 

とりあえず18時になったので

ドアの呼び鈴を押しますが 反応がありません

 

直接ドアをノックしても これも反応なし

 

携帯から部屋へ電話すると

中のほうから かすかに呼び出し音がなってます

 

電気メーターはゆっくり

(夕方、電気を使っていると  それなりに早くまわる)

 

アパートの裏側が見える 道路に回ってみましたが

明かりは点いてません

 

で、結論

 

課「いねーな」

や「すいません」

 

平日のアポは 仕事の関係で遅れれくる人もいるので

それから、1時間ほど待ってみましたが 帰ってきません

 

課「帰るか」

や「はい・・・」

 

レポート用紙に

「待ってましたが、帰ります」

「連絡ください」

と書いて、名刺と一緒にドアポストに 差し込んでおきました

 

課「いねーのはしょうがないんだけれど」

課「こういうのは、契約決まるから」

課「必ず、追いかけとけよ」

や「わかりました」

 

その後、会社に戻りまして

H「どうだ、決まっただろう」

や「いなかったです」

H「そうらしいな」

H「でも、あれは決まるよ」

や「はい・・・」

 

課長とH君が 「決まる」 と、言うので

なんとか交渉の場が持てれば おそらく決まるんだろうな・・・

とは、思ってましたが・・・

 

 

 

それから3日ほどしまして

意外なところから連絡がきます

 

部長「やぐら、電話」

部「○○県警だって」

や「はー」

部「何したんだよ」

や「何もしてませんよ」

 

電話に出ると

 

警「営業部のやぐらさんですか?」

や「はい、そうです」

警「△市▲町のFさんはご存知ですが」

や「いちおう知ってます」

警「最後にFさんとお会いしたのはいつですか?」

や「いや、会ってません」

警「会ってないんですか?」

や「電話で約束した日にいなかったので」

や「会ってません」

警「あなたの連絡先の紙は、あれはなんですか?」

や「約束した時間にいなかったので」

や「こちらに連絡ください、とういことです」

警「もう一度聞きますが、会ってないんですね」

や「会ってません。顔もしらないです」

警「わかりました。責任者の方に代わっていただけますか?」

 

電話を課長に代わり

課長が数分話して終わった後

部長となにやら話をしています

 

数分の後

課「やぐら、あの客はもう電話するな」

や「あっ、はい」

 

部長が営業全員を急遽集めます

部「△市▲町のFさんという人に営業かけてたやつは」

部「今後、いっさい電話しないように」

部「以上」

 

同じお客さんに、

うちの会社内でダブっていることが よくあるので、

自分以外でも、

Fさんに電話をかけててた人は 2,3人いました

 

クレームがものすごい人が たまにいて、

「電話するな」

というのは、ありますが

基本的に、 うちの会社は多少のクレームには、

まったくひるまないので、

(クレームを受けた人から  契約することもよくある)

 

よっぽどなにか特殊なケース・・・

 

でした。

 

 

その日の業務が終わりに近づいたころ

自分と、H君が呼ばれます

 

課「やぐらが、約束したFさんだけど」

課「○○県の山の中で、遺体で発見されたそうだ」

や「!」

H「!」

課「うちに連絡が来たのは」

課「やぐらが、連絡先を入れておいたからだ」

課「こちらを疑ってるというよりは」

課「知ってることがあったら」

課「教えてほしい」

課「みたいな感じだった」

 

いきさつは、こうなります

 

Fさんは会社を無断欠勤したようで

会社 ⇒親族 ⇒警察 と、

連絡がいき うちに電話が来た というわけです

 

課「はっきりとは、いってなかったけど」

課「自殺っぽいな」

課「やぐら、最後に会話したのはおまえだよな」

や「いや、H君です」

H「自分ですけど」

H「そんな変な感じはしませんでしたけどね」

や「自分と話した限りでは」

や「多少、後ろ向きな印象でしたけど」

や「自殺しますかね」

や「人それぞれですけど」

課「わかった」

課「今日のところはこれで終了」

 

ということで その日は課長のおごりで

食事をご馳走になりました

 

そして この後に起こることで

自分の中の 精神的ななにかが

プツリと切れることになります

 

 

次の日

いままで書いてきた

ある程度の人数が集まると

どうしても一定数いる

という人たちが登場しだします

 

「よう、やぐら」

「なんか、お客さんのとこいったら」

「死体発見したらしいな」

や「違いますよ」

 

「おっ」

「これはこれは」

「殺人営業のやぐらさん」

や「そういうのやめましょうよ」

 

「おれからマンション買ったやつで」

「破産したやつはいるけど」

「死んだやつはいねーなー」

や「・・・・」

 

「やぐらが電話した時にさー」

「ほんとはもう死んでてさー」

「幽霊と会話してたんじゃないの?」

や「さすがにそれはないと思いますけど」

 

一番ひどいなあと思ったのは

「どうも、死んだってのは」

「うそくさいんだよね」

といって、 Fさんのところに電話したやつがいました

 

や「さすがに、やめたほうが・・・」

 

「こんにちは」

「××不動産の●●といいます」

「えっ」

「あ、そうでしたか」

「失礼しました」

「なんか、この部屋の人は」

「亡くなったので」

「2度と電話しないでください」

「って、言われたよ」

や「やめましょうよ」

 

・・・・

 

この会話は、

発言者のイニシャルとかも 入れませんでしたが、

複数の人です

 

しかも、

営業成績のいい人たちばかりです

 

この前に 葬儀屋の話を、なぜしたのかといえば

「死者に対する態度」

が、あまりにも違うからです

 

かたや、仕事

かたや、会ったこともない知らない人

 

または

 

かたや、ほぼ毎日死に直面している人たち

かたや、現実感のほとんどない人たち

 

考え方はひとそれぞれでいいのですが

 

自分の中で、

「この会社、この人たちは」

「人の不幸をなんとも思ってないらしい」

 

直接関係ないとはいえ ちゃかすほどのことなのか?

という、気持ちが芽生えます

 

実際に口に出すのはさすがに・・・・

 

こうなると

すべての見方が 反対側になってしまいました

 

すごい売れる営業マンを 基本的には

「すごい人」

という、尊敬の念はありますけれど

 

相手が必要としてないものも

無理やり売って 自分が稼いでいる・・・

 

みたいな感覚に一度なってしまうと

 

もう、営業として売れなくなってしまいます

 

課「やぐらは、意識を変えないと」

課「ぜったい売れる営業マンに」

課「なれないぞ」

 

 

課「おまえさあ」

課「俺たちが売ってるものは」

課「そんなひどいものか?」

 

課長たちは 自分の性格を見抜いていたようですが

自分の方は結局のところ 自分のなかで

「売れる営業マン」

に変化するのを拒み続けました

 

なので、営業成績は 低迷したままでしたが

「別にそれでもいい」

という、

 

いい意味で達観、

悪い意味で現実逃避

するようになっていきました

 

結局、その会社には約5年いましたが

「自分の人生にとって  いちおう意味のあった時間」

と、自分に言い聞かせるように しています

 

不動産営業時代のお話はこれで 終了にします

 

やめたときに またびっくりしたことがありましたが

 

また次回にでも

では、また