とりあえずやってみた

とにかくやってから、考えます

ブラック企業に入社してしまうプロセスを考えてみた。(その3)

 

 

 ブラック企業に入社してしまうプロセスを考えてみた。(その3)

前回からの続きです。

 

 

 

おさらいしますと、この時点での仕事に対する考え方、感情はこちら。

 

・会社にはいい人ばかりいるわけではない 

・変な人に絡まれるよりは、むしろ無視されるくらいがいい 

 

・120時間(24時間×5日間)連続勤務を経験した 

・仕事的に正しいことをしたとしても、自分が評価されるとは限らない

 

・さらに、過酷な勤務時間を経験した。 

(推定:月400時間勤務)

 

・自分を認めてもらいたかった。 

・お金は、頑張りさえすればそこそこ稼げる 

 

となっています。

 

 

 

この後、パチンコ屋にアルバイトとして入社します。

 

 この店は、時給もそこそこ良くて、特にうるさいことも言われずに、

(言う人もいなくはないけれど)

 

アルバイトとしては、いたって平和な職場でした。

(正社員はいろいろきついらしい) 

 

ただ、この職場にいたときに自分の住んでいた木造アパートが火事に遭います。

 

このおかげで住むところがなくなってしまったのです。

近所の方のご厚意で、2ヶ月間だけなら住んでもいい、という方がいらっしゃったので、そこに世話になりました。

生活用品が焼失したので、ホントに体と毛布1枚と着替え2組くらいで生活していた感じです。

 

そして、期限の2ヶ月になろうかというころ、火災保険も数百万おりまして、職に関することをいろいろ考え始めます。

 

ずっとアルバイトでいたのは、いつか独立して自分でなにかやってみようと思っていたところもありました。→ NEW

 さらに、住むところが必要なこと。→ NEW

数百万をそのままキープしたかったこと。→ NEW

(アパート、マンションを新たに借りると初期費用が60万くらいかかるため)

 

そして、

営業経験がないので、「独立のためには、物の売り方を勉強したほうがいいのでは?」→ NEW

 

さらに、

多少「修行」という期間があってもいいのではないか?

→ NEW

 

という結論になりました。

 

これは、一人で全部考えた結論なので、だれかに相談していればまた違う結果があったのかもしれません。

 

求人雑誌を買ってきまして、いろいろ調べましたら、営業は不動産がいいのでは?ということになり、「社員寮(社宅)つき」が条件のため、某不動産会社に面接に行くことにしたわけです。

 

 

 

 

これは、いまから25年前の話です。

もし、タイムマシンがあるならこのときにもどりたい・・・

今49歳の自分が、当時24歳の自分に言ってやりたい・・・

「その会社に入ってはいけない」と・・・

 

 

結局は、この会社に入社してしまうのですが、冷静に考えると面接の時点でおかしなことはいくつかあったわけです。

 

しかし、自分がそのことをスルー、もしくはありえないくらい好意的に感じてしまった理由を考えてみます。

 

まず、求人広告に載っていた条件面から

 

・親切丁寧に指導します。

・入社祝い金30万円支給

・社員寮完備

・休日年間150日以上

・余裕の13時出社

・高歩合給。入社1年目で年収1000万円も可能。

 

こんなところでしたかね。

 

面接での食い違い

 

・入社祝い金30万円支給

→ 面接では「実際には貸付金」といわれる。

 

⇒ 自分では「営業をちゃんと教えてくれれば売った歩合給で返せるはず」と思ってしまった。

 

・社員寮完備

→ 借り上げ社宅で家具付き月8万円、広さは13㎡しかなかった。

 

⇒ 火事の直後で、生活用品がなかったので、むしろありがたいとさえ思った。 

 

 

・休日年間150日以上

→ 休日は週1日

 

⇒ とりあえず週1日は休めると思ってしまった。

 

・余裕の13時出社

→ 朝9時半~夜10時とハッキリ言われる

 

⇒ 正直「その日のうちに帰れるんだ」と思ってしまった。

 

 

・高歩合給。入社1年目で年収1000万円も可能。

→ 実際に貰ってる人がいる、と言われる

 

⇒ 面接してくれた人が明らかに自分より若いのに、いいスーツ、いい時計をしているので、信用する。

 

さらに、二次面接でのその会社の常務との会話のなかで、

「うちは、スタートは未経験の人間ばかり」

「あなたが何かやりたい夢があるならば、うちの会社は踏み台にしてもらって構わない」

「なにか不安に思っていてもしょうがない。思い切って飛び込んできてほしい」

と言われました。

 

正直、この面接で涙が出そうになったのです。

(いままで、こんなに熱く語る人はいなかった・・・)

 

これが決め手で、この会社に入社してしまったわけです。

 

いま49歳のおっさんとなった自分が考えるに、当時の24歳の自分は、なんかあまりに純粋過ぎたような気がします。

 

人の情熱に感動する前に、おかしなところだらけだろう、と思いますよね。

 

 

 

 

 

 

で、いざ入社しましたら、いろんなところでおかしな感じになっていました。

 

 

・入社祝い金30万円支給

→ なぜか給料に含まれていて、所得税を取られる

そして、返済はきっちり30万円引かれる。

 

自分は営業成績がとても悪かったので、「会社やめるんだったら、金返してからだね」と、ずっと言われていました。

 

なにかと退職をさせないような「仕掛け」があるのです。

 

・社員寮完備

→ 確かに便利な物件だが、個人で借りるにはちょっと不釣り合いな気がする。

⇒ その後、別の借り上げマンションに引っ越しましたが、解約のときに40万くらい取られる

(とくにものを壊したわけではない)

 

これも、「会社を辞めるんだったらちゃんと払っていけよ」ということらしい。

 

ちなみに、別の社員の親がこのことに怒って、訴訟を起こしたという噂。

 

・休日年間150日以上

→ 成績がいいと週3日休んだこともある

⇒ 成績が悪いと、社長がキレてとにかく休日を取り上げてしまう。

成人式に出れなかった社員や、

「結婚式を日曜日にやるとかふざけるな。稼ぎどきだろう?」と言われて自分の結婚式を、何も関係のない全くの平日の火曜日に変更させられた人がいた。

 

・余裕の13時出社

→ 営業成績がいいとたまに昼出社になることもある

⇒ 一番ひどいときは、朝6時からよる2時まで電話営業させられたことがある

理由は、「夜12時でもいないやつは1時にいるんじゃね?」とのこと

 

・高歩合給。入社1年目で年収1000万円も可能。

→ 実際にいるので「可能」という表現は間違ってはいない。

 19歳の人で年収900万という人もいた。

 

⇒ 売っていれば高給だが、売れないとかなり悲惨。

自分の最低給は、正社員にもかかわらず、手取り「5万8千円」だった。

この月はなぜかひどかったらしく、手取り「2万円」「3万5千円」という人がいた。

 

それと、歩合給の支給時期の問題があります。

新築の分譲マンションだと、更地から完成まで1年半とか、期間が長いわけです。

歩合給の支給時期の決まりは、「歩合全体の25%が契約月の翌月」「歩合全体の75%は完成引き渡し後」となっていました。

つまり、満額もらえるまでひどいと2年後とかになります。

 

自分は、最終的にこの会社から、正式な退職ではなく「逃亡」しましたが、この「2年後にもらえるお金」のために、心の中では「逃げよう」と思っていても、ずるずる会社に居続けたわけです。

 

ピーク時は「1年6ヶ月後に90万円もらえる」という状態になりまして、退職するとこれを捨てないといけないわけです。

 

先程も言いましたが、「どうにか社員をやめさせない仕掛け」というのが、ホントにさまざまなところにありました。

 

ちなみに、自分が「逃亡」した6ヶ月前くらいから、会社の資金繰の悪化が表面化したらしく、

・給料の遅配

・交通費の精算ができない

・年末調整の所得税の還付金が分割になる

・社内預金の解約ができなくなる

など

 

金銭面でのあらゆることが、おかしくなっていきました。

 

自分は下っ端の社員だったので、特に影響はなかったのですが、役職が上になるに連れて、ひどいことになっていたようです。

あとで知りましたが、課長が給料2ヶ月支払いなし、部長は1年半分のボーナスが支払い保留だったそうです。

 

で、退職の経緯が「逃亡」だったので、社会保険の手続きをしておらず、会社的には無断欠勤なので、そのうち退職扱いになって、離職表とか実家にでも送ってくるのかとおもいきや、全く音沙汰なし。

 

この会社は、自分の逃亡6ヶ月後に倒産しました。

ただ、倒産のために正式に退職した社員の離職票とか、源泉徴収票とかをくれないらしく、弁護士を通さないといけないくらい大変なことになっていたようです。

 

 

 

 

 

 

さて、自分がなぜこの会社にはいってしまったのか改めて考えます。

 

 

この会社に入社する直前仕事に対する考え方、感情です。

 

・会社にはいい人ばかりいるわけではない 

・変な人に絡まれるよりは、むしろ無視されるくらいがいい 

 

・120時間(24時間×5日間)連続勤務を経験した 

・仕事的に正しいことをしたとしても、自分が評価されるとは限らない

 

・さらに、過酷な勤務時間を経験した。 

・自分を認めてもらいたかった。 

・お金は、頑張りさえすればそこそこ稼げる 

 

・いつか独立して自分でなにかやってみようと思っていた

・住むところが必要だった。

・数百万をそのままキープしたかった。

 

・営業経験がないので、「独立のためには、物の売り方を勉強したほうがいいのでは?」と思った。

・多少「修行」という期間があってもいいのではないか?と思った。

 

 

まるで、あの会社の面接してくれた人が、自分の感情を全て見透かしていたかのようです。

 

むしろ、自分から物事をプラスに捉えすぎていて、自分から地獄によろこんで突き進んで行った、とも言えます。

 

この会社を経験してから、職を選ぶ基準が増えます。

・ちゃんと給料を払ってくれる会社

・休ませてくれる会社

・うそをつかない会社

・・・

 

なんか、法律で決められていることので、もはや「会社を選ぶ条件」ではないような気もしますが・・・。

 

やって当然なので、「ゼロ」なんですが、

自分がいた会社が「マイナス100万」くらいなので、

 

その後、自分が働いた会社が当たり前のことをしているだけなのに

「給料日に給料が満額振り込まれてるなんて、ものすごいいい会社」

とか

「残業手当くれるなんて神様みたい」

とか、

本気で思っていましたよ・・・

 

「自分の中の最低基準がどんどん下がる」

 というのはこのことです。

 

 

 

その後は田舎に帰って、

今までの自分の中の感情、条件に照らし合わせて職を探しはじめました。

 

いくつか就職しましたが、「ブラック」と呼ばれる会社はなかったです。

 

ただ、きっちり最低限の法令遵守すると、「ちょっと生活できないのでは?」とおもうくらい給料が厳しいのです。

 

時給740円

× 7時間 (勤務時間8時間という会社はなぜかほとんどない)

× 月20日勤務

 

から

税金、社会保険を引くと手取りで10万いかないのです。

 

法律は守っています。

しかし、生活できないのでは・・・・

 

とある会社にいたときに、主婦の人とか2時間くらいの残業は喜んでやっていました。

生活がかかっていますからね。

 

でも

「もっと稼ぎたいなあ」

と思っている人だと、やや「ブラック臭」がしても、問い合わせや面接までは行ってしまうんではないですかね?

 

家族持ちだとやはりなにかとお金はかかりますよね。

 

職選びは人生を左右する大きなことなので、自分の例が何かしらの参考になれば幸いです。

 

以上です。

 

長文、読んでいただきまして

ありがとうございます。

 

 

 

 (その1)

gogojuggler1969.hatenablog.com

 

 

(その2)

gogojuggler1969.hatenablog.com