とりあえずやってみた

とにかくやってから、考えます

「高田のローキックが最強である」に涙した話

 

 

自分が、22歳位のときのある日、東京の某所のマクドナルドで食事をしておりました。

 

一通り食べ終わった後、コーヒーを飲んでましたら、向かいの席にいる2人の会話が聞こえてきました。

 

卍固めがどうのこうの・・・」

「やっぱり延髄斬りでしょう・・・」

 

会話の内容はプロレスのようでした。

 

この2人の男性の会話が、かなり真剣で熱気を帯びている感じでしたので、自分はコーヒーをすすりながら、なんとなく聞き入っていました。

 

「やっぱりさ技ってシンプルな方が強いよね」

「なんだかんだいっても、蹴りだよね」

 

テーマはどの技が最強か?

ということのようでした。

 

「こないだリングサイトで見てたけど、ローキックの当たる音とかすごいよ」

「うん、音は確かにすごかったね」

 

「関節技も決まったら、絶対逃げられないんだけど」

「まずは、打撃だよね」

 

自分が会話に気づいてからすでに30分以上経っていました。

自分が店に来る前から話していたとすると、どのくらいの時間になったのでしょうか?

 

「間合い取りながらだから、パンチもすごいけど、やっぱり蹴りだよね」

「ローキックが最強じゃね?」

 

この2人の結論は、

「ローキックが最強」

ということになったようです。

 

「で、誰のローキックが一番だろう?」

「やっぱり高田(延彦)でしょう」

「そうなるよね」

「前田(日明)とか山崎(一夫)とかいるけど、やっぱり高田だね」

 

(スーパー・タイガーとかいるけど、そうだろうね)

と、声に出さずに同調している自分がいました。

 

そして、2人は店から出ていき、会話は終了となりました。

 

そして、自分はなんとも言えない気分になり、涙が流れそうになったわけです。

 

 

なぜかというと・・・

 

 

自分も中学生から25歳くらいまで、プロレス大好き少年(青年)でした。

中学校のときは、休み時間といえば教室でプロレスの技の掛け合いばかりしていました。

 

ほんとに中学2,3年のときはそれしか記憶にありません。

 

陸上部の高跳び用のマットを勝手に使い怒られ、

学校のプールの授業に、ダイビングボディアタックをして怒られ、

冬に雪の積もった校庭で、完璧なドラゴンスープレックスを決めて、なぜか教室から見ていた人たちから拍手をもらったこともあります。

 

よく言えば純粋、悪く言えば単純な少年でしたので、家に帰ってからはスクワット、腕立て伏せ、腹筋などをやり、当時の夢といえば「プロレスラーになりたい」という日常生活でした。

 

高校生になり少し成長してからは、休み時間にプロレスをすることはなくなりましたが、(相手がいないため)1度だけケンカをふっかけられたときに相手の関節を決めて折る寸前までいってしまったことがあって、それ以降表立って「プロレスが好き」ということは言わないようにしてきました。

 

そして、この頃で身長が伸びなくなり(171cm)、プロレスラーになることはあきらめました。

ただ、その後山田恵一という選手が新日本プロレスに現れ、実際の身長は169cmという噂です。

(現:獣神サンダー・ライガーというのは、内緒)

 

で、先程の話にもどりますと、なぜ涙しそうになったのかというと、

「プロレスが好きな仲間がいる」

ということ。

 

正確には、プロレスを語れる仲間がいる、というよりも

「個人の趣味を否定しない人」

ということがほんとに羨ましくてしょうがなかったのです。

 

高校を卒業してから社会人になって、とにかくびっくりして戸惑ったのが、

「個人の人格を全否定されることがほんとに多い」

ということ。

 

「プロレス好きなんです」

と言われたら、

「そうなんだ」

で、いいと思うんですけど

 

「プロレスってショーでしょう」

「変わってるね」

「大人になったら普通やめるでしょう」

 

と、こんな反応ばっかりでした。

(のちに、基本個人の人格を全否定されるので、プロレス云々ではないということを知る)

 

仕事で何か間違いをしたとしても、

「プロレス好きな人って、変わったやつ多いからね」

とか、こじつけ、偏見のみで物を言う人がなぜか周りにとっても多かった、という記憶しかありません。

 

さすがに仕事を間違えたのは自分の責任だとしても、プロレスは関係ないですからね。

 

そして、それから約4年位して、某企業に勤めます。

 

プロレスのことは、話すとめんどくさいことになるので、自分の中にしまっておいていたのですが、毎週木曜日に必ず「週刊プロレス」を買っていたことが、周りに知れて、「プロレスが好きな人」と認知されてしまいます。

 

そして、どういう因果か、その会社が某プロレス団体のスポンサーになってしまったのです。

 

自分は、遭遇したことがないのですが、会社に某プロレスラーが数名来たこともあったそうです。

 

あるとき、東京・後楽園ホールで試合があり、結構有名な選手も集まっていまして、全社員観客として会場に集められておりました。

この日は会社の事務の女の子たちも、花束嬢として「仕事」をさせられてまして、「ヒールレスラーに花束で襲われる」という「お約束」もちゃんとこなしておりました。

(ある女の子がヒールレスラーに襲われても怖がらずに『ガン』をとばしていたのには笑いましたが・・・)

 

プロレス自体を見る限りでは、まあ、面白いといえば面白いのですが、スポンサー会社としては、お金の絡む場面や(直接自分はタッチしてませんが)接待的なこともあったりということが起こっていたようでして、

自分はプロレスに関しては「純粋」でしたので、こういう「裏側」を見たくなかったわけであります。

 

 

 

そして、「ある事」が起こります。

 

ある日社長から、とあるキャバクラ的なところに呼び出されまして、店の中に入りましたら、社長と常務とプロレスラーが数人飲んでおりました。

「よう、やぐら待ってたよ」

そして社長はプロレスラーたちに

「こいつがうちの会社で一番プロレスが好きなやつなんで」

「一緒に飲んでやってください」

と、満面の笑みで話し出しました。

 

そのときの、プロレスラーたちの苦笑いというかなんというか、無言でうなずく顔はいまだに覚えております。

 

自分としても、それこそ「プロレスの試合」を見たいだけで、プロレスラーの私生活とかは興味ないのです。

 

それから自分は特に言葉を発するわけでもなく、しかも酒はほとんど飲めないので、正直この場から逃げたくてしょうがなかったのです。

 

「おい、やぐら。おまえ緊張してるな?」

「せっかくだから何か聞きたいこととかないの?」

 

ただ、会話を聞いていればよかったところに急に話をふられてしまったので、

「やっぱり、そばで見るとでかいっすねえ」

とだけ、言いました。

 

すると社長は、あるレスラーに

「○○選手、ちょっと立ってもらっていい?」

と、ある選手に促し、その選手が軽くうなずき立ち上がりました。

 

その選手は2m、140kgくらいでしたので、一般人からするとかなりでかいです。

 

「いやー、すごいです」

自分も特に感想とか思い浮かばないので、このくらいしか答えようがない、というのが正直なところでした。

 

その後、記憶が定かではないので、特に印象に残ることもなく接待はお開きになった、はずです。

 

しかし、ただで済まないことが起こっていました。

 

その接待の日は、会社の休みの前日でした。

そして、休日明けに、常務から呼び出されたのです。

 

常務は開口一番

「この間のお前の態度は何だ?」

と言われました。

 

「すいません。何のことでしょうか?」

この返事がさらに常務に火をつけたようで

 

「おまえなあ。社長がおまえがプロレス好きだっていうから、わざわざ一緒に飲めるようにしてやったんじゃねえか。」

「おめえ、あの日全然楽しそうにしてなかったって、社長がとにかく怒ってる」

「いい加減にしろよ、このやろー」

 

社内に常務の怒鳴り声が響きます。

常務の怒鳴り声は、たびたびあるので周りは「またなにかあったのだろう」と思っていたようでしたが、

(やぐらが何をしたんだ?)

というのを、把握できていないようでした。

 

(正直、自分でもよくわからない)

 

ひととおり怒鳴られたあと、なんとか解放されたのですが、意味もわからないし、いくらなんでも自分が悪いとも思えない・・・

 

その後、数名から事情を聞かれたので、何があったのかを説明しましたが、自分が悪いという人はいない代わりに、社長を(表向き)批判する人も当然いないわけで、

「終わったことだから気にすんな」

と言うしかないですよね・・・

 

この1件がありまして、自分のプロレス熱は急激に冷めていきます。

その後は、馬場、鶴田が亡くなり、猪木が引退し、このころになるとほとんどプロレスを見なくなりました。

 

今、現在でもプロレスはほとんど見ません。

(スカパーとかで当時の再放送があるときは見てる)

 

思えば、プロレスが好きなだけだったのに、自分の中でプロレスに関わることでいいことはほとんどなかったように思います。

改めていいますが、プロレスそのものはなんにも悪いわけではないので、よほど自分の人間関係の「運」がなかったのでしょう。

(自分のことはさておく)

 

最初のマクドナルドにいた2人のように、楽しく当時のプロレスの話をして、ノスタルジーにひたりたいなあ、と強く思います。

 

では。